エルフは里から追放された時点で、名を使えなくなる。だから彼女に名は無く、奴隷の少女でしかなかった。 彼女と過ごし、距離が近くなったからこそ名を呼んでやりたいと思った。 「アーシャ」希望 を意味する言葉。 彼女の行く末に、希望がありますようにと。
彼女にとって、外は危険が多く安心できない場所であり、主人と暮らし傍にいる部屋こそが安心できる世界だった。 でも最近、主人が外に出て傍に居なくなるたび、胸が締め付けられるような苦しさを覚えていた。 主人の傍に居たくて、外に出ることを考えるアーシャ。 外に慣れさせたい主人。
奴隷の少女、アーシャに名前を付けてから幾ばくか。 気が付くと距離感が縮まっていた。 愛情に飢えていた彼女は、まるで今までの時間を取り戻すかのように、少々依存気味に甘えてくるようになった。 そんな彼女を見て、つい甘やかし気味になる自分に呆れつつ、この日々に満たされる気持ちになっている