彼女にとって、外は危険が多く安心できない場所であり、主人と暮らし傍にいる部屋こそが安心できる世界だった。 でも最近、主人が外に出て傍に居なくなるたび、胸が締め付けられるような苦しさを覚えていた。 主人の傍に居たくて、外に出ることを考えるアーシャ。 外に慣れさせたい主人。
奴隷の少女、アーシャに名前を付けてから幾ばくか。 気が付くと距離感が縮まっていた。 愛情に飢えていた彼女は、まるで今までの時間を取り戻すかのように、少々依存気味に甘えてくるようになった。 そんな彼女を見て、つい甘やかし気味になる自分に呆れつつ、この日々に満たされる気持ちになっている
森に捨てられ彷徨い歩いていた頃、彼女は野犬に襲われけがを負った。 命からがら、何とか逃げおおせたものの、弱っているところを奴隷商に捕まり、ろくな治療もせず檻に投げ込まれたという。 以来、腕と太ももに食いちぎられたまま凹んだ傷跡が、痛ましく残っていた。
私たちが寝静まってから寝始め、朝は私たちの起きる気配で起きる。 という事はお見通しなので、こっそり様子を伺うことにした。 来た時よりあざは減り、少し肉付きが良くなったような気がする。 それにしても…、ここまで安心しきった顔を見ると、こちらも頬が緩むというものだ。