enimo@Caf2enimo

    その美しい黒色が、ひと目で僕を魅惑した。 「その瞳、黒い湖面のようですね」 そう言うとその人は、とにかく複雑そうとしか言いようのない顔をして、こう言った。 今からそう遠くなく、僕は何かをすくうだろうと。 深い闇の底で這うように泳いでいたそれを、どうやってかひどく正確に掬い取るのだと。

    その美しい黒色が、ひと目で僕を魅惑した。
「その瞳、黒い湖面のようですね」
そう言うとその人は、とにかく複雑そうとしか言いようのない顔をして、こう言った。
今からそう遠くなく、僕は何かをすくうだろうと。
深い闇の底で這うように泳いでいたそれを、どうやってかひどく正確に掬い取るのだと。
    4112018年1月21日 01:06
    enimo@Caf2enimo

    ひどく丁寧な手当をされた。くどくどと煩い小言の後に、奇天烈な話を聞かされた。 いつか、そう遠くなく、どんな何より俺を選ぶ奴が現れる。俺が傷つき失われるのを何よりも憂い恐れる奴で、ある時、己の命を脅かす賭けをする。己の命で、俺に辿りつくための賭けをする、と。 奇天烈な話。 --夢語り。

    ひどく丁寧な手当をされた。くどくどと煩い小言の後に、奇天烈な話を聞かされた。
いつか、そう遠くなく、どんな何より俺を選ぶ奴が現れる。俺が傷つき失われるのを何よりも憂い恐れる奴で、ある時、己の命を脅かす賭けをする。己の命で、俺に辿りつくための賭けをする、と。
奇天烈な話。
--夢語り。
    482018年1月21日 19:31
    enimo@Caf2enimo

    つめたく澄んだ闇に浮かぶ、あの月がとても綺麗だから。 夜さえ染めんと蓋を落とす、この雪はとても愚かなのだ。

    つめたく澄んだ闇に浮かぶ、あの月がとても綺麗だから。
夜さえ染めんと蓋を落とす、この雪はとても愚かなのだ。
    3102018年1月22日 21:47
    enimo@Caf2enimo

    ぴたりと当然に隣り合うのと、するりと自然に別れるのとを、永久のように繰り返して。それは、貝の片割れ同士を思わせた。 友人と呼ぶには過ぎた執着が感じられ、恋人と喩えるのにその距離は奇妙で。 ただ取替えようの無い、一対だ。 切り離された貝のように。 互いきり。 然るべき永久の、彼と彼。

    ぴたりと当然に隣り合うのと、するりと自然に別れるのとを、永久のように繰り返して。それは、貝の片割れ同士を思わせた。
友人と呼ぶには過ぎた執着が感じられ、恋人と喩えるのにその距離は奇妙で。
ただ取替えようの無い、一対だ。
切り離された貝のように。

互いきり。
然るべき永久の、彼と彼。
    4142018年1月25日 21:32
    enimo@Caf2enimo

    月光に似た目をしたあの人は、深い夜の中に浮かぶ月を、殊更に愛でていた気がする。 ある古い占いにおいて、輝く月は、女性の象徴を指すという。私は己に都合の良い鈍さを備えておらず、彼のただ一つの輝く月を、もう知っていた。 そして、その悲恋に酔うふりをして、胸の底にただ醜い傷を作っていた。

    月光に似た目をしたあの人は、深い夜の中に浮かぶ月を、殊更に愛でていた気がする。
ある古い占いにおいて、輝く月は、女性の象徴を指すという。私は己に都合の良い鈍さを備えておらず、彼のただ一つの輝く月を、もう知っていた。
そして、その悲恋に酔うふりをして、胸の底にただ醜い傷を作っていた。
    292018年1月28日 12:46

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