20世紀美術解剖学の巨匠ゴットフリード・バメスは板書の名手であった。リアルタイムで描かれる人体像は、知識と経験がそのまま反映される。角度を自在に変えることができるのは、頭の中に立体的な像が想起できたからだろう。写真はBammes. Malerei - Grafik - Künstler-anatomie. 2000. より。
スペインの組織学者、版画家クリソストモ・マルティネス(1638-1694)。骨組織を研究し、達者な画力で図示するする傍ら、それまで体表の寸法から得られた人体プロポーションの基準点を人体内部に導き出そうと試みた。筋が含まれるプロポーション図は、古代エジプト以降の歴史でも非常に珍しい。
センチメートル法ができる前まで、寸法の基準は人体由来であった。この人体由来の尺度(人体尺)は、主に道具や建築の物差しとして使用され、美術領域では人体プロポーションに派生した。基準となった人体の部位は、毛髪から身長まであるが、中でも手が細かく採寸されている。
脊柱の側屈には概ね2種類ある。1つはなだらかに曲がるもの。もう1つは頸・胸・腰部の境界の可動性が高いもの。ジークフリード・モリール『造形解剖学』(1924)より。