世界には目に見えない魔法の輪があり、その内側にいる人間と外側にいる人間がいる。内側にいる人たちが気にしていることは、外側の自分には全く関係ないことだ。 杏奈は自分自身について、こう考えている。
でも、杏奈の中には、潜在的に自分のことを見てほしいという考えもある。今の自分から変わりたいという思いはあるけど、うまく形にできない。 そうでなければ別に教師の手に自分の絵を渡さなくてもいいだろう。 変わりたくなければ変わらなくていい。
「小人シリーズ」は挿絵がまず素晴らしかった。 かけ網やベタで光の感じをよく描いていた。宮崎監督のお気に入りはヤカンからアリエッティが魚を見ている絵。これは3巻の中の挿絵だけど作品のラストに持っていきたいと言われる。 あと、舞台はイギリスから日本に変更。
準備班に美術監督としてAさんが入って3人体制に。 2日後早速宮崎監督が部屋に来て絵を見ていく。 全然違うと言われ庭に出て教育される。野川公園や、はけの小道、小金井公園たてもの園などにロケに行く。
ロマンチックな路線でデザインやプロットを作ってゆく。 原作にあるようにガンガン進む一面とロマンチックな一面があると面白くなるような気がする。 病気を持った少年の退廃美を描こう。これはトーマの心臓なんだ、と宮崎監督。
今夜はラピュタですね。 こちらは僕が唯一描いたラピュタ。 カレンダー用のイラスト(下絵)です。
「風立ちぬ」は「ポニョ」とは一転して影もしっかりついたコッテリ作画です。 二郎のメガネ周辺が面白いです。 止まっている部分も合成を使わずに同トレスにして息づいてる感じにしてます。(動画の人は大変だったでしょう)
翔が角砂糖をプレゼントしているのを見ているので、スピラーは自分なりに考えて野苺をプレゼントしようと思ったのでしょう。かわいいやつ。 あまり考えてないだろうけどアリエッティはそれを受け取る。 (小人たちの未来が明るいことへの願いを込めて入れたシーン)
脚本にはなかったけど、最後に翔に翔らしい言葉を発してもらって終わりにした。 翔は自分の運命と小人たちの運命を重ね合わせていた。アリエッティたちが元気に過ごしている限り、自分の心臓は動き続けるという、生きる宣言。 (冒頭の言葉があるので手術は成功したのでしょう)
宮崎監督からは容易にアリエッティを手に乗せてはいけないと言われていたけど、この手はジェントルマンの差し出す手だし、アリエッティが気持ちを変えて自分の意思で乗っているので大丈夫。 フィギュア愛好家の発想になることを宮崎監督は警戒していた。
青年の二郎の三等車と二等車のシーンは原画やりましたね。
原画を描くとき、僕はこんな感じに最初に全部の絵の計画とタイミングを作っちゃいます。 他の人の仕事のチェックするときは、これに足りなければ描き足すし、余計なら抜く。 どの絵が原画でどの絵が動画用参考か、わかりやすく組み立ててもらえるとチェックは助かります。