自分の知っている「かちかち山」は、 ・狸が媼を騙して撲殺し、婆汁をこしらえて翁に喰わせる ・翁の代理として兎が立ち上がり、狸を騙して大火傷させる ・最後の仕上げに兎が狸を漁に誘い、泥舟に乗せて沈め溺死させる というバイオレンス展開で、幼い自分は特に拒否感を示すことなく受け入れていた。
「中世ヨーロッパはキリスト教会が科学技術などの学問を抑圧した」と考えられがちではあるものの、実際にそれら学問全般を総括する「自然哲学」を研究し発展させたのは修道士をはじめとする聖職者であった。
筆記する修道士。中世西ヨーロッパの共通語であるラテン語の読み書きは聖職者の専売特許と言っても差し支えない能力であり、彼らは自らの学問研究について情報を交換するため他の修道院や大学の聖職者と書簡をやり取りした。西欧における学問伝播は、聖職者らの往復書簡によってもたらされた。