新月」の検索結果 190

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新月ゆき@Shingetsu_yuki
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2023年10月10日 7:35
■くも膜下出血コラム10【2週間が山場です】  「くも膜下出血は、2週間が山場です」  桜見晴大病院のICUで、よく聞いた言葉。 医師も看護師も、くも膜下出血で倒れた私に、そう言う。  だから、私は主治医に尋ねた。 「2週間が経てば、今の頭痛は治りますか?退院できますか?」 彼は答える。 「はい、何事もなければ」  2週間! 全てが解決する日数なんだ!  私は前向き思考だ。 2週間が私の希望になった。2週間が終われば、私は退院できる。頑張ろう!と思った。  リハビリを頑張ろう! 食事を頑張ろう!  私は起き上がると、嘔吐感を伴う頭痛がする。 この嘔吐感を無視し続けると、身体が震え始める。本音を言うと、リハビリも食事も頑張りたくなかった。だけど、頑張った。希望の気持ちの方が、ずっとずっと大きかったから。  退院し、元の生活に戻ること。 これが、私の希望。  くも膜下出血の発症から8日目。 私はICUの入院生活に慣れた。初期の頃と比較すると、頭痛も軽くなった。リハビリも、食事も順調だ。  看護師が、ICU内の患者の様子を確認している。いつも見ている風景。いつもと同じように、彼女は笑顔で、私に尋ねる。 「新月さん、点滴を替えますね。調子はどうですか?」  左腕の点滴が、少し痛い。 それを伝えようと、私は口を開く。  「あざみキwらくぁQキオ」  私の思考が止まる。 看護師は笑顔のまま、私に尋ねる。 「はい?なんですか?」  「…あざみキwらくぁQキオ」  私、おかしい。 看護師の表情から、笑顔が消えた。彼女は、さらに私に尋ねた。 「…もう一度お願いします」 私は言葉を噛み締めるように、ひとつひとつの言葉を丁寧に伝えた。  私が、伝えたい言葉は「左腕の点滴が痛いです」 そして、私の口から出てくる言葉は  「…あ、あざみキwらかぁ…Q」  私と看護師は見つめ合う。 彼女の表情は硬くなっていた。瞳と頬に緊張がある。  「言葉を話せなくなりましたか?」  看護師の質問に、私はこくりと頷いた。 今、私は話せない。だから、動作で伝えた。  ここで、はッと思い出す。 医師や看護師が、私に伝えていた言葉。  「くも膜下出血は、2週間が山場です」  ■後日談  看護師の表情は、鮮明に覚えています。 漫画には、彼女の表情を描かなかったけれど、今も脳裏に焼き付いています。今日のコラムを書きながら、なぜこんなに覚えているんだろう?…と考えました。そして、気付きました。  おそらく、感情です。 当時の自分の感情と、看護師の表情が強く繋がったため、鮮明に覚えているんだろうな…と。  この後は漫画に描いていますが、改めて、明日のコラムに活字として残しますね。1■くも膜下出血コラム10【2週間が山場です】 「くも膜下出血は、2週間が山場です」 桜見晴大病院のICUで、よく聞いた言葉。 医師も看護師も、くも膜下出血で倒れた私に、そう言う。 だから、私は主治医に尋ねた。 「2週間が経てば、今の頭痛は治りますか?退院できますか?」 彼は答える。 「はい、何事もなければ」 2週間! 全てが解決する日数なんだ! 私は前向き思考だ。 2週間が私の希望になった。2週間が終われば、私は退院できる。頑張ろう!と思った。 リハビリを頑張ろう! 食事を頑張ろう! 私は起き上がると、嘔吐感を伴う頭痛がする。 この嘔吐感を無視し続けると、身体が震え始める。本音を言うと、リハビリも食事も頑張りたくなかった。だけど、頑張った。希望の気持ちの方が、ずっとずっと大きかったから。 退院し、元の生活に戻ること。 これが、私の希望。 くも膜下出血の発症から8日目。 私はICUの入院生活に慣れた。初期の頃と比較すると、頭痛も軽くなった。リハビリも、食事も順調だ。 看護師が、ICU内の患者の様子を確認している。いつも見ている風景。いつもと同じように、彼女は笑顔で、私に尋ねる。 「新月さん、点滴を替えますね。調子はどうですか?」 左腕の点滴が、少し痛い。 それを伝えようと、私は口を開く。 「あざみキwらくぁQキオ」 私の思考が止まる。 看護師は笑顔のまま、私に尋ねる。 「はい?なんですか?」 「…あざみキwらくぁQキオ」 私、おかしい。 看護師の表情から、笑顔が消えた。彼女は、さらに私に尋ねた。 「…もう一度お願いします」 私は言葉を噛み締めるように、ひとつひとつの言葉を丁寧に伝えた。 私が、伝えたい言葉は「左腕の点滴が痛いです」 そして、私の口から出てくる言葉は 「…あ、あざみキwらかぁ…Q」 私と看護師は見つめ合う。 彼女の表情は硬くなっていた。瞳と頬に緊張がある。 「言葉を話せなくなりましたか?」 看護師の質問に、私はこくりと頷いた。 今、私は話せない。だから、動作で伝えた。 ここで、はッと思い出す。 医師や看護師が、私に伝えていた言葉。 「くも膜下出血は、2週間が山場です」 ■後日談 看護師の表情は、鮮明に覚えています。 漫画には、彼女の表情を描かなかったけれど、今も脳裏に焼き付いています。今日のコラムを書きながら、なぜこんなに覚えているんだろう?…と考えました。そして、気付きました。 おそらく、感情です。 当時の自分の感情と、看護師の表情が強く繋がったため、鮮明に覚えているんだろうな…と。 この後は漫画に描いていますが、改めて、明日のコラムに活字として残しますね。
新月ゆき@Shingetsu_yuki
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2023年10月9日 7:29
■くも膜下出血コラム9【笑うから幸福になる】  くも膜下出血発症から数日経過。  2020年夏。 ICUのベッドに寝ている私に、看護師は尋ねる。 「新月さん、体調はいかがですか?」  私は、看護師の微笑みを見返す。 「…寝過ぎた時、頭が痛くなると思うんですが、その時の痛みです」  私から体温計を受け取った看護師は、言う。 「熱は38度ありますね」 「熱もそうなんですけど…」  私のくも膜下出血の現状は、常に頭痛。だいたい発熱。37度〜39度を行ったり、来たり。37度と39度の違いは体感的にはなかった。それより、私が気になったのは  「頭をあげると、頭痛が酷くなるんですよね」  ベッドに横になっていれば、激しい頭痛はない。手足は動く。だけど、5分以上起き上がると、嘔吐感を伴う激しい頭痛となる。ほぼ寝たりきり状態。  この頭痛は、いつ終わるんだろう? 本当に終わるんだろうか? このまま私は寝たきりになるのかな?  そう思った時期もあったけれど、不安は続かない。私は、漠然と、完治する未来を信じていた。意外に思われるかもしれないけれど、この頃の私は平和だった。  私は、たぶん大丈夫。  私は思考量が多い。そのため、様々なパターンを考えるため、後ろ向きなことも考える。だけど、私の最終思考は、前向きだ。だから、私の心は静かで平和。  この平和を作っているひとつは、看護師の存在も大きい。よく笑う看護師がいた。  「わー楽しいですね。わはははははははははは」  楽しいこと? なにがあったんだろう?  この笑い声の前後にあったことを、私は思い出す。特に、楽しいことはない。私は考える。やはり、楽しいことはない。  だけど、看護師は笑い続ける。 病室は、彼女の笑い声でいっぱいなった。  すると、病室の空気が、軽くなっていくのを感じる。他の患者の、小さな笑い声も聞こえ始めた。そして、私も吹き出すように、笑い始めた。  「…ふはッ!ははははは」  笑う。 楽しい、おかしいことはないのだけど、笑う。笑う。笑う。楽しくて、おかしくて仕方がない。  笑い終えた後、私は気づく。 看護師は、笑いが患者に与える効果を知っていて、わざと笑っているんだ。フランスの哲学者アランの言葉を思い出す。  幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ  確かに、そうかも。 素敵な言葉だし、なにより、現実もこの言葉の通りだ。これが、正しい順番なんだ。  まずは、笑う。 それから、幸福になる。  ■後日談  今日も一日、わはははははー!笑1■くも膜下出血コラム9【笑うから幸福になる】 くも膜下出血発症から数日経過。 2020年夏。 ICUのベッドに寝ている私に、看護師は尋ねる。 「新月さん、体調はいかがですか?」 私は、看護師の微笑みを見返す。 「…寝過ぎた時、頭が痛くなると思うんですが、その時の痛みです」 私から体温計を受け取った看護師は、言う。 「熱は38度ありますね」 「熱もそうなんですけど…」 私のくも膜下出血の現状は、常に頭痛。だいたい発熱。37度〜39度を行ったり、来たり。37度と39度の違いは体感的にはなかった。それより、私が気になったのは 「頭をあげると、頭痛が酷くなるんですよね」 ベッドに横になっていれば、激しい頭痛はない。手足は動く。だけど、5分以上起き上がると、嘔吐感を伴う激しい頭痛となる。ほぼ寝たりきり状態。 この頭痛は、いつ終わるんだろう? 本当に終わるんだろうか? このまま私は寝たきりになるのかな? そう思った時期もあったけれど、不安は続かない。私は、漠然と、完治する未来を信じていた。意外に思われるかもしれないけれど、この頃の私は平和だった。 私は、たぶん大丈夫。 私は思考量が多い。そのため、様々なパターンを考えるため、後ろ向きなことも考える。だけど、私の最終思考は、前向きだ。だから、私の心は静かで平和。 この平和を作っているひとつは、看護師の存在も大きい。よく笑う看護師がいた。 「わー楽しいですね。わはははははははははは」 楽しいこと? なにがあったんだろう? この笑い声の前後にあったことを、私は思い出す。特に、楽しいことはない。私は考える。やはり、楽しいことはない。 だけど、看護師は笑い続ける。 病室は、彼女の笑い声でいっぱいなった。 すると、病室の空気が、軽くなっていくのを感じる。他の患者の、小さな笑い声も聞こえ始めた。そして、私も吹き出すように、笑い始めた。 「…ふはッ!ははははは」 笑う。 楽しい、おかしいことはないのだけど、笑う。笑う。笑う。楽しくて、おかしくて仕方がない。 笑い終えた後、私は気づく。 看護師は、笑いが患者に与える効果を知っていて、わざと笑っているんだ。フランスの哲学者アランの言葉を思い出す。 幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ 確かに、そうかも。 素敵な言葉だし、なにより、現実もこの言葉の通りだ。これが、正しい順番なんだ。 まずは、笑う。 それから、幸福になる。 ■後日談 今日も一日、わはははははー!笑
新月ゆき@Shingetsu_yuki
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2023年10月8日 7:16
■くも膜下出血コラム8【ICUの日常生活】  今日は、ICUの日常生活をつづろうと思う。  【毎朝の応答】  「おはようございます。名前と今日の日付、病院名を教えてください」  朝7時頃。看護師は、ICUの患者たちに挨拶をし、毎日同じ質問をする。入り口付近の患者から順に、部屋奥のベッドに寝ている私は、いつも最後だ。  「おはようございます。新月ゆきです。今日の日付は、8月23日。桜見晴大病院(※1)です」  病院名は忘れがちなのだけど、先に回答した患者の声を聞いていたので、間違えようがない。ほか、毎日質問されるので、いつしか質問される前に、回答するようになった。  一体、この応答はどのような意味があるんだろう?  【入浴】  私は、入院中の入浴が大好きだった。  3〜4日に一度の入浴。 コロナ禍のため入浴はできなかったけれど、シャワーを浴びることが出来た。看護師の補助はあったが、この入浴はリハビリを兼ねたものだと自覚があったので、基本自分で入浴作業を行う。  頭痛はある。 身体も弱っている。直立して、歩くと、頭痛は激しくなる。自分でひとり、歩くことがおぼつかない。左手を壁に添えながら歩き、椅子に座る。シャワーで、お湯を浴びる。  その途端、身体が喜んでいることがわかった。 頭痛が消えるような感覚。普段の生活で、入浴にここまで喜びを感じたことはない。心身共に生き返る。不思議な感覚。  一体、この感覚はなんだろう?  退院後、さまざまな入浴方法を試してみたが、この時の感覚を再現できない。私は、サウナが苦手でしたことがないのだけど、もしかしてサウナにあるんだろうか?  ■後日談  当時の入院生活の一部です。今でも強く覚えていることは、毎日の反復、心身に何かしら印象深かった出来事です。  明日から、本編のコラムに戻りますね。1■くも膜下出血コラム8【ICUの日常生活】 今日は、ICUの日常生活をつづろうと思う。 【毎朝の応答】 「おはようございます。名前と今日の日付、病院名を教えてください」 朝7時頃。看護師は、ICUの患者たちに挨拶をし、毎日同じ質問をする。入り口付近の患者から順に、部屋奥のベッドに寝ている私は、いつも最後だ。 「おはようございます。新月ゆきです。今日の日付は、8月23日。桜見晴大病院(※1)です」 病院名は忘れがちなのだけど、先に回答した患者の声を聞いていたので、間違えようがない。ほか、毎日質問されるので、いつしか質問される前に、回答するようになった。 一体、この応答はどのような意味があるんだろう? 【入浴】 私は、入院中の入浴が大好きだった。 3〜4日に一度の入浴。 コロナ禍のため入浴はできなかったけれど、シャワーを浴びることが出来た。看護師の補助はあったが、この入浴はリハビリを兼ねたものだと自覚があったので、基本自分で入浴作業を行う。 頭痛はある。 身体も弱っている。直立して、歩くと、頭痛は激しくなる。自分でひとり、歩くことがおぼつかない。左手を壁に添えながら歩き、椅子に座る。シャワーで、お湯を浴びる。 その途端、身体が喜んでいることがわかった。 頭痛が消えるような感覚。普段の生活で、入浴にここまで喜びを感じたことはない。心身共に生き返る。不思議な感覚。 一体、この感覚はなんだろう? 退院後、さまざまな入浴方法を試してみたが、この時の感覚を再現できない。私は、サウナが苦手でしたことがないのだけど、もしかしてサウナにあるんだろうか? ■後日談 当時の入院生活の一部です。今でも強く覚えていることは、毎日の反復、心身に何かしら印象深かった出来事です。 明日から、本編のコラムに戻りますね。
新月ゆき@Shingetsu_yuki
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2023年10月5日 8:02
■くも膜下出血コラム5【くも膜下出血の原因】  なぜ、くも膜下出血になったんだろう?  2020年の夏、私はくも膜下出血で倒れた。その後、手術を終る。今は、病院のベッドに横たわり、私はスマホを食い入るように見つめている。  くも膜下出血になった原因を知りたい。  「くも膜下出血 原因」「脳卒中 原因」言葉を変え、様々な言葉でスマホでググる。複数のネット記事を読んだ。ネット記事には、次のように書かれていた。  --脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の三に分けられます。脳卒中の原因は、高血圧や糖尿病など同じように、食事、運動不足、ストレス、喫煙、過剰な飲酒などの日常生活習慣に原因があるため、「生活習慣病」とも呼ばれています。普段の生活を見直せば、脳卒中は予防することができます--  記事にあるのは、もう既に知っている情報ばかり。そして、私には該当しない情報ばかり。私は、不健康な生き方をしていない。  食事。 過去、漢方薬の医師から、食事療法の指導を1年間受けてきた。もう長い間、健康的な食事をしてきた。だけど、実際は違うのかもしれない。時々ジャンクフードも食べているし、徹底をしていない。徹底すると、窮屈な気持ちになるから。とはいえ、毎年の健康診断では、いつも正常値。  運動不足。 それは考えられない。かつて私は運動量過多だった。毎朝3時に起床し、週3回筋トレ、週3回ジョギング、週末登山。膝の故障により、医師のアドバイスに従い、今はゆるふわ運動。ゆるふわと言え、ほぼ日で運動をしているので、運動不足はやはり考えにくい。  ストレス。 これも考えにくい。私は、メンタルケアに最も時間をかけている。初期の鬱症状であれば、1週間のセリフケアで、私は私を治療することができる。長い期間、自分観察をし、入手したメンタルケア方法。私専用の方法のため、他者に有効かどうかは不明なのだけど。  喫煙・過剰な飲酒。 私の人生に、喫煙も飲酒もない。喫煙をしたこともないし、少量の飲酒でも体調を崩すので、一口しか飲まない。いや、飲めない。  私の日常は、健康的な生活習慣。 人生で最も大きなリターンは、健康。だから、時間と労力を投資してきた。だけど、くも膜下出血になった。何がいけなかったんだろう?何を見落としたんだろう?  わからない。 私が、なぜくも膜下出血になったのか、わからない。頭が痛い。スマホが重い。スマホを支える手首が、疲れてきた。明日、医師に確認しよう。  「新月さん、もうそろそろ」 看護師が、私に声をかける。看護師を見ると、彼女の表情から患者を気遣う気持ちが伝わってくる。…私はくも膜下出血なんだから、休まないと。  突然、過去の記憶を思い出す。 そういえば、私には、くも膜下出血で亡くなった叔父がいる。それを看護師に告げると、彼女は目を見開いた。「新月さん!」  翌朝。 私は、私の主治医・斎藤先生と初めて会う。彼が私に告げる。  「看護師から聞きました。くも膜下出血の家族歴がある場合、ご家族もくも膜下出血になる可能性があるんですよ」  え? 遺伝?  主治医の言葉に、私の思考も身体も数秒固まる。  ■後日談  私のくも膜下出血の原因は、遺伝的要因の可能性がある。  驚きました。 本当に驚きました。遺伝の可能性があるなんて、知りませんでした。考えてもみませんでした。…いや、知らないから、考えようもないのですが。  その後、妙に納得もしました。遺伝だから、私の今までの努力が追いつかないのも仕方ないよね…と。1■くも膜下出血コラム5【くも膜下出血の原因】 なぜ、くも膜下出血になったんだろう? 2020年の夏、私はくも膜下出血で倒れた。その後、手術を終る。今は、病院のベッドに横たわり、私はスマホを食い入るように見つめている。 くも膜下出血になった原因を知りたい。 「くも膜下出血 原因」「脳卒中 原因」言葉を変え、様々な言葉でスマホでググる。複数のネット記事を読んだ。ネット記事には、次のように書かれていた。 --脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の三に分けられます。脳卒中の原因は、高血圧や糖尿病など同じように、食事、運動不足、ストレス、喫煙、過剰な飲酒などの日常生活習慣に原因があるため、「生活習慣病」とも呼ばれています。普段の生活を見直せば、脳卒中は予防することができます-- 記事にあるのは、もう既に知っている情報ばかり。そして、私には該当しない情報ばかり。私は、不健康な生き方をしていない。 食事。 過去、漢方薬の医師から、食事療法の指導を1年間受けてきた。もう長い間、健康的な食事をしてきた。だけど、実際は違うのかもしれない。時々ジャンクフードも食べているし、徹底をしていない。徹底すると、窮屈な気持ちになるから。とはいえ、毎年の健康診断では、いつも正常値。 運動不足。 それは考えられない。かつて私は運動量過多だった。毎朝3時に起床し、週3回筋トレ、週3回ジョギング、週末登山。膝の故障により、医師のアドバイスに従い、今はゆるふわ運動。ゆるふわと言え、ほぼ日で運動をしているので、運動不足はやはり考えにくい。 ストレス。 これも考えにくい。私は、メンタルケアに最も時間をかけている。初期の鬱症状であれば、1週間のセリフケアで、私は私を治療することができる。長い期間、自分観察をし、入手したメンタルケア方法。私専用の方法のため、他者に有効かどうかは不明なのだけど。 喫煙・過剰な飲酒。 私の人生に、喫煙も飲酒もない。喫煙をしたこともないし、少量の飲酒でも体調を崩すので、一口しか飲まない。いや、飲めない。 私の日常は、健康的な生活習慣。 人生で最も大きなリターンは、健康。だから、時間と労力を投資してきた。だけど、くも膜下出血になった。何がいけなかったんだろう?何を見落としたんだろう? わからない。 私が、なぜくも膜下出血になったのか、わからない。頭が痛い。スマホが重い。スマホを支える手首が、疲れてきた。明日、医師に確認しよう。 「新月さん、もうそろそろ」 看護師が、私に声をかける。看護師を見ると、彼女の表情から患者を気遣う気持ちが伝わってくる。…私はくも膜下出血なんだから、休まないと。 突然、過去の記憶を思い出す。 そういえば、私には、くも膜下出血で亡くなった叔父がいる。それを看護師に告げると、彼女は目を見開いた。「新月さん!」 翌朝。 私は、私の主治医・斎藤先生と初めて会う。彼が私に告げる。 「看護師から聞きました。くも膜下出血の家族歴がある場合、ご家族もくも膜下出血になる可能性があるんですよ」 え? 遺伝? 主治医の言葉に、私の思考も身体も数秒固まる。 ■後日談 私のくも膜下出血の原因は、遺伝的要因の可能性がある。 驚きました。 本当に驚きました。遺伝の可能性があるなんて、知りませんでした。考えてもみませんでした。…いや、知らないから、考えようもないのですが。 その後、妙に納得もしました。遺伝だから、私の今までの努力が追いつかないのも仕方ないよね…と。
ふつう@futunoekaku
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2023年5月29日 12:30