ヴィルヘルム・タンク『鷲 –形状、構造と動作』(1963)。美術用の動物解剖学では、頻繁に表現される動物が選ばれるが、鷲はドイツの紋章に使用されるためか。

筋の厚み。各筋がどの程度厚みを持っているかは、造形にとって重要な要素の一つだが、解剖の現場でしか調査できないので先行研究がほとんどない。ポール・リシェによる単離筋の断面図。添付は1枚目:僧帽筋、2枚目:広背筋、3枚目:三角筋中部、4枚目、脊柱起立筋。

呼吸、拍動、歩行、摂食、昼夜、月齢、四季、成長等々。我々は、意識とは無関係のリズムの中で生きている。この意識とは無関係のリズムに意識が介入すると、たちまち心身のバランスが崩れる。心身のバランスは制作においても基本である。図版は三木成夫『生命形態学序説』より。

古代ローマからルネサンスまでの人体観を伺い知る事ができる資料はほとんどない。まとまった資料として知られているのは、13世紀のヴィラールが残した羊皮紙製の画帖である。人体が幾何図形に当てはめて描かれている。図版は藤本康雄『ヴィラール・ド・オヌクールの画帖に関する研究』より。

美術解剖学の教科書の記述は、1つ1つの構造について、形状、働き、位置、起伏、割合、体表への影響などが書かれている。これらを参照することによって、図や写真を眺めただけでは気づかない要素が発見できるようになる。