人体プロポーションは8頭身など頭身指数を用いたものがよく紹介されているが、構造の位置関係による数値を用いないプロポーションもある。例えば胸郭幅と骨盤幅(男性は胸郭幅と骨盤幅が概ね同じ、女性は骨盤幅の方が広い)。肘、手首の高さにある体幹の構造など。
解剖学は情報が継承されるため、解剖図もコピーされてきた。このことは応用解剖学の一つである美術解剖学でも同様である。今のところ、他の図を参照ないしコピーして描いた図で学問が更新されたケースを見たことがない。
よく、人体の内部構造のことを「気持ち悪い」とか「怖い」と言う人がいる。そういう人は、それらは自然が作り出したもので、自分の中にも存在していることを一度考えてみると良い。私は、自然が作り出し、自分や他人の中にある構造を排除したり否定する気にらない。
教員は人に伝えながら、その分覚えている。何度も繰り返すと、知ったつもりであやふやなことが明瞭になってくる。伝えるときに、相手の意見を汲み取れる姿勢でいると、すでに知った内容が硬直せず、更新される。