センチメートル法ができる前まで、寸法の基準は人体由来であった。この人体由来の尺度(人体尺)は、主に道具や建築の物差しとして使用され、美術領域では人体プロポーションに派生した。基準となった人体の部位は、毛髪から身長まであるが、中でも手が細かく採寸されている。
脊柱の側屈には概ね2種類ある。1つはなだらかに曲がるもの。もう1つは頸・胸・腰部の境界の可動性が高いもの。ジークフリード・モリール『造形解剖学』(1924)より。
リシェの『美術解剖学』に記載された教育理念。以下大意。「芸術家と呼ぶにふさわしい者は、最初から人に教わることなく形態を見て把握し、判断し、解釈する特別な才能を持つ。これは形態だけでなく色彩についても言える。そして各々の作家は、その気質に応じて独自の視点を持っている。(中略)」
「余計な美的考察の中で自分を見失うことなく芸術を教えたい解剖学者は、ただ1つの目的を持たなければならない。それは個人的思考と言語を自制し、生体の外形や深部の関係性をありのままに示すことである。教示し、説明するため以上の記述を求めてはならない。そのためには明快さと正確さを要する。」
壁面装飾やメダルなど、レリーフを製作する彫刻家は、高い水準の絵画作品を残していることが多い。専門分化されてしまった絵画と彫刻の間をつないでいる造形感覚がレリーフにあるように感じる。