彫刻家ウードンはアカデミーの要請により、エコルシェ(筋肉人模型)をいくつか作っている。ウードンが手がけたエコルシェは、少なくとも4種あり、そのうち1767年に制作された像(1,2,3枚目。)が最も有名なエコルシェである。この像はウードンが手がけた洗礼者ヨハネ像(1776-67)が元になっている。
美術解剖学に運動生理学が導入されたのは19世紀中頃。19世紀末には連続写真を用いた図も作成されていた。現代の教科書でもたまに見かけるが、アニメーターや運動を表現するCGクリエイターにとって有益な情報になるだろう。
私の周辺の解剖学や外科の先生は、詳細で繊細な線描が描ける。「イラストに描き起こして」と渡された原稿を超えるのにしばしば苦労するほど。医師の線描が画家の線描と違う点の1つは、プロポーション(全体に対する部分の比)がない。実際にほとんどの医学書にはプロポーションの話が出てこない。
腰あたりの冠状(前頭)断の性差。1枚目:男性、2枚目:女性。腸骨稜の外側やや下方が窪むのと、腰部の皮下脂肪層の違いが観察できる。非常にレアな図だが、トリミングにセンスの差が現れることを教えてくれる。図示することは結構奥が深い。