ブリッジマンは、モデルなしに短時間で人体像が描けた。彼が教えていた学校に収蔵されている学生の素描の端に、ブリッジマンによる描き込みが散見される。書籍に掲載されたあっさりとした形態も、素描などの実技教育に合わせた調整だろう。
複数視点がほぼ同一のスケールで描かれた図で学んでいくと、立体的な感覚が養われる。平面のみを手がけていた作家が、あるとき見たことのない視点で描けるようになったり、粘土などの立体像も作れるようになる。
教科書を読んでも身についた感じがしないのは、体験を通していないためだ。パリ国立高等美術学校の形態学講座では、リシェが130年前に描いた図版を今でも模写させると聞く。