筋や骨を学ぶという現代的な美術解剖学は、欧米の美術学校で発展・成立した教え方である。非常に効率は良いが、生命の持つ「情緒」は含まない。味覚で例えると出汁がない。日本の美術解剖学(少なくとも東京藝大)では、生命の持つ「情緒」も教えている。 https://t.co/lD72sOvfCm
Fagnier教授の『美術解剖学講義』(1942)。解剖図は、構造名まで手書きで、類似する図を見たことがない。複数の解剖図を組み合わせた図かもしれないが、美術解剖学の図によく描かれる「リシェ・バンド」と、医学書に掲載される「ハンター管」が描かれていて、画力も知識もしっかりした人物に思える。
腹部の筋を正面から描く際に、腹直筋をどうするかは図によってデザインが異なる。おおむね三種あり、腹直筋鞘(腹直筋を包んでいる腱膜)を省略して描く場合(1枚目)。腹直筋鞘をカットして描く場合(2枚目の右半身)、腹直筋鞘越しに起伏を描く場合(2枚目の左半身)。