ドイツの彫刻家オットー・ゲイヤー(Otto Geyar)による美術解剖学書(1902)。ほとんどの図にガイドが引かれている。堅苦しいなと思ったが、よく見ると後世に影響を及ぼした捉え方もいくつかある。こうした過渡期の作例からは、人体への飽くなき探究心を感じるなぁ。
ポール・リシェによる女性の皮下脂肪層の厚み。体幹の外側面図は、男性と重ねて比較している。リシェの皮下脂肪層の計測方法は、生体の皮膚を皮下脂肪層ごとつまんで厚みを計測し、その厚みを半分にするというもの。圧力で変形する気もするが、皮下脂肪層の定量化を試みた研究自体が珍しい。
続き。リシェによる下肢の性差。リシェがモデルとして選んだ体型では、男女を同一のサイズにした時に、女性では体幹が発達(昨日のツイート参照)し、男性では四肢が発達していることがわかる。
ポール・リシェの図版をよく見ると、実線のそばに点々がついている。これは、フレスコ画を制作するときのような、原図から銅版に置き換えた際のトレース痕じゃないかと思っている。こういった、今は役に立たないが、なぜか興味を惹かれることを発見した時に、研究の芽生えを感じる。