加藤公太 KATO Kota | Online classes (JP) https://t.co/wRTO6uDbBT | (KR) https://t.co/LnMcHEIAOd | (EN) https://t.co/7XQ4Ox7ZbG | Contact: kato.anatomy.lab@gmail.com |
上肢と下肢の屈筋(赤)と伸筋(青)の配置。上肢は前面が屈筋、後面が伸筋。下肢は前面が伸筋、後面が屈筋。この配置の違いは四足動物の姿勢を想像すると理解できる。
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体幹(黄色)、上肢(赤)、下肢(青)の区分は、骨格が基準となっている。筋では体幹と四肢をつなぐ領域が増えるため、それぞれの区分の範囲が変わる。
上肢の筋群。多くの筋を覚えるのが大変な場合は、筋群としてまとめると大幅に数が減らせる。筋群の分類は、機能や付着位置などによってまとめる事ができるが、美術では大まかなボリュームとしてまとめると分かりやすい。
複数の関節が関わる肘関節などは、骨の接合部を色分けすると対応関係が理解しやすくなる。
僧帽筋は、機能的に上・中・下部に分けることができる(上部:緑、中部:青、下部:赤)。イラストのリファレンスで紹介されている記事はしばしば誤解されており、脊柱付近の上部と下部はほとんどボリュームを持たない。後頭部の厚みは、深層の頭半棘筋による。厚みはリシェの模式図を改変。
画家のエゴン・シーレは、ヘルマン・ヘラーという美術解剖学講師のアトリエに住み込み、人体描写を学んでいた。感情的に見える彼の人体描写は、誇張されているものの、骨の起伏やカーブなどの特徴が非常に正確である。
アキレス腱は足首あたりでくびれているが、このくびれは、腱自体のねじれと、腱の後面を覆う走行のはっきりした下腿筋膜によって生じる。
ヘソの位置は胸郭の下限と上前腸骨棘(赤点線)の間あたり。腹直筋(緑)から導き出すには、第10肋骨から下向きの円弧上にある第3腱画(黄)をたどる。ほか、体表のランドマーク、肋骨弓(オレンジ)、ローマンアーチおよび第1腱画(青)、第2腱画(水色)。
斜め方向。
芸大の大学院に通っていた頃、毎週人物クロッキーの授業に参加していた。体表の起伏を観察しては解剖図を眺めていたが、それらの図や記述を実際に確認したり、検証できないことにもどかしさを覚え、医学に進学することにした。
現代的な美術解剖学を成立させたポール・リシェの記述には、痩せ型や筋肉質など体型による見え方の違いが出てくる。パリ国立高等美術学校に就任する前の医師時代にどうやって多数例の人体を見ていたかというと、おそらく患者である。リシェは病理記録の撮影と病理模型の制作を多数行っていた。
足のレントゲン写真を見ると、いつも地面から骨までの距離を見てしまう。骨は周辺の構造に支えられ、体の中で浮かんでいる。
腋窩の筋配置は概念的に捉えるとさほど難しくない。上腕二頭筋と烏口腕筋のボリュームを広背筋+大円筋と大胸筋が包んでいる。(肩甲下筋は外形に影響しにくいので省略)
上野の西洋美術館でも鑑賞することができる『考える人』は、手足(肩甲骨も)が一回り大きくみえる。手を広げたらオトガイから毛髪の生え際まで覆えそうである。美術作品における手足は、ロダンに限らず大きめに造形されていることが多い。"Sculptures de Rodin"(1933)
ロダンの『青銅時代』は程よい体型をしている。起伏がほぼ正確で腋窩も十分見えるため、美術解剖学の解説やエコルシェ(筋肉模型)にもよい。添付は"SCULPTURES DE RODIN" (1933)の写真の上にスーパーインポーズ。
情報や知識を得たとしても、感覚に落とし込まなければそれらは扱えない。情報や技術の使い方を学ぶのは、先人の姿勢や人柄からである。情報のみを欲し、師の人となりを不要とする学習者の姿勢は、使い方がわからない優れた道具を持ち帰っているようなものだ。反対に師は姿勢や人柄が問われる。
美術解剖学を通じて人体が素晴らしいと思えたら、自分がその素晴らしい人体そのものだということに気付くだろう。自分はダメだと卑下するのは意識だ。意識を作る大脳は人体の中では新入りである。
旧ラオコーン骨格のクイックスケッチ。現在のラオコーンは手先などの補修部分が外されている。
骨格を推測する際に個人的に用いている要点。体表のランドマークを拾って、それらの間を繋げていくと割合に再現できる。
ミケランジェロに基づく素描は、筋を描き込んでも破綻しないのでおそらく解剖を学んだ人物が描いている。姿勢も片側では肩甲骨を後退させ、もう片側では肩甲骨を前進させて起伏に変化を付け、顔は肩が前進した方向を向いている。
美術解剖学の実習の多くは、慣習的に人体デッサンが採用されているが、骨の上に筋をモデリングしていくスタイルもある。後者の実習では、人体を再現するのに表現が必要ないことを体験できる。絵画や彫刻といった垣根もない。適切なボリュームがあれば人体に見え、不足すれば違和感が出る。
外形に現れやすい筋腱移行部の形状は、個人差が結構ある。美術解剖学では有益な情報になるかもしれないので、調査してみたい。
解剖学では「普通って何?」の回答を明確に用意している。5割以上の発現率で観察できる構造のことである。しかし、全身が標準構造すなわち普通で構成された人体は、私は見たことがない。
解剖図は19世紀中頃の大判リトグラフもしくは20世紀初頭の写真製版の図が最も様々な要素が描写されている。当時の教科書は記述も詳細で、観察量の多さが図に反映されたと考えられる。版画やペン画のクロスハッチングは、起伏の説明には良いが、決め打った線であるのと線と線の間の情報がやや抜ける。